医療法人 メディカルフロンティア

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蔵出し医療談義(1) =栄養学復興への道標=

06月18日
 現代医療の基本的方法論が様変わりして、医療改革が進みつつあります。旧来の治療学においては、点滴・注射の匙加減を極めて、針刺しの技術を修練することが、若い医師達の成長過程に欠かせない素養でした。ところが近年、栄養療法という旧くて新しい基本となる概念が提唱されて見直され、ここ十数年の間に俄に脚光を浴びて、治療学の主流となりつつあります。栄養サポートチーム(NST)と呼ばれる医療機関におけるチーム医療の典型とされるシステム改革が全国津々浦々に浸透して、着実な治療効果の実績を挙げ、救急医療をはじめとする一般入院医療の分野でも、至極当たり前の標準的治療法としての地位を確立しつつあるのです。私達の医学生時代には教科として学ぶことのなかった栄養学が、一躍脚光を浴び始めた背景に
は、一外科医がアメリカ留学中に学んだ栄養管理を司るチーム医療の方法論を伝承・導入することにより、旧態依然とした日本医療界に、革新的な医療改革が成された経緯がありました。今では病院入院医療の現場を超えて、健康長寿を目指す地域社会の栄養状態を改善しようと図る社会栄養学の進化を目指す発想に繋がってきています。まさに短命県返上のエッセンスというに相応しい青森県の健康長寿対策そのものだといえます。

 地域社会ではお年寄りの低栄養状態が囁き嘆かれ、後期高齢者とみなされる階層のうちで、80歳以上の方々の約半分(50%)位が低栄養に陥っているといわれます。また病気や怪我で入院医療を必要とし、実際に入院に至った方(年齢不問) の約4割 位の患者さんが、既に低栄養状態であることが広く知られています。入院医療を受ける場合に、その開始時点で低栄養が潜在するケースでは、入院治療による救命率や社会復帰率に明白な差が生じてしまいます。低栄養状態にある患者さんは明らかに救命率が低く、リハビリ効果も上がらずに、社会(家庭)復帰が遅くなってしまうというデータが取り上げられているのです。従って入院と共に栄養状態を評価し、輸液・注射等の治療行為と並行して、栄養状態の改善を図る栄養療法を実践することが肝要であり、手術予定の患者さんでは術前の栄養管理が必須の手順として、入院医療の現場で標準化されようとしているのです。低栄養(低蛋白)状態があると、投薬された薬も空回りし易くて、また手術創も治り辛く、自ら病気の快癒に導く身
の抵抗力となる免疫力の極端な低下の為に、自然治癒力が落ちた結果として、回復が遅延(遷延)することになるのです。

 栄養療法の手法としても極力胃腸を使った経腸栄養法が推奨されます。経口での食物の摂取はいうまでもなく、例え誤嚥等を繰り返すことで経口摂取が困難となっても、腸を使うことが 原則となり、例え高カロリー輸 液等の導入とて、経静脈栄養だけの栄養補給では充分とはいえず、ましてや免疫力の改善・維持には役立ちません。人体の免疫機能の源となるのは、小腸下部の絨毛細胞に全体の六割強の機能が集中しており、腸機能が使われなくなると、廃用の結果として、小腸粘膜の絨毛が萎縮するに陥ってしまい、免疫細胞の吸収や免疫機能の伝達が滞ってしまうことで、感染防御機能が弱体化するのです。こう話を進めてくると、できる限り胃腸を使って、できることなら口で食べることができるような生活と、噛み砕く咀嚼の強化や嚥下の安定化を図るお口のリハビリテーションを心掛けたいものです。
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