医療法人 メディカルフロンティア

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お知らせ

駆出し介護医療(4) =介護難民漂流=

10月16日
介護保険制度が始まって十数年が経過し、一見して制度の認知度が高まって、成熟の足取りと共に、俄に現代社会に定着してきたかのように見える反面、介護保険によって高齢・障害者を社会で支えようとする制度の理念の反作用として、家族崩壊(家族関係の希薄化)の社会現象を生んだ負の側面すら抱えつつあるようです。恨みの残る結果に繋がったかに言える元凶となるのは、膨らみ過ぎた医療費削減を主目的とした医療経済立て直し策が先行してしまい、社会保障制度アレンジの範疇で勘案された経緯に起因するのです。関係者の共通認識と思われるこの社会現象の端緒となったのは、介護保険創設前の時期において、「医の心」の原点というべき「福祉の心」 に、互いに自然と寄り添い合おうとしていた医療業界と福祉業界の良心の流れの必然性が、財源を分けて担当官公庁の事務方が分離したことにより、現場の業務手順までが縦割り分担に転じてしまい、両者の連携という無味乾燥な美辞麗句に置き換えられてしまったからでした。自然な形で寄り添って協働し合おうとしていた現象が、畏まって連携会議だとか、カンファレンスだのと、歪で堅い話し合いのプロセスを踏まねば、機能することができなくなり、加算という餌に吊られて、算術を追い求め操るような世知辛さが加わってきたのでした。人道とかヒューマニズムとかの美意識を追究する医療・介護スタッフの抱く浪漫(roman)&魂(spirit)は、見事に形骸化してしまったのでした。

 ましてや病院の後方ベッドとしての機能を担うべく制度化された有料老人ホーム等の介護施設の類に至っては、手薄な介護保険の財源をひたすら「ボッタクル」ような外付け出来高算定の医療・介護機能を付加することで、必要以上に貪り取るような浪費を繰り返す過程が蔓延ってしまうのです。
さらに拍車をかけそうなのが、「福祉の心」に疎いであろう建設業界や不動産業界の経営者達が、続々と介護施設の運営に参入してきている現状が顕著に目立つ御時世になったことです。
    
 暫く医療現場を離れた後に、医療技術の再開に不安を抱える経験者や、加齢によって退役したばかりの老スタッフ及び過酷な介護現場への復帰を躊躇うスタッフ等々の面子を札束で掻き集め、資格保有者の数合わせで施設基準を満たしただけの寄せ集めの布陣で、経営主導の運営を遣り繰りする自転車操業に徹する施設が目立ち過ぎるようになったのです。ニョキニョキと立ち上がった看板倒れの介護施設の何と多いことでしょうね。複数の疾病を抱えて、当然の如く虚弱化した高齢・障害者に至っては、さらに障害を加えることで、施設の機能を逸脱してしまい、転居・転所を繰り返すことを余儀なくされる情況に陥ってしまう顛末となるのです。いよいよとてもとても「終の棲家」とはいかず、現施設から他の施設へと、漂流をし続けざるを得なくなり、「介護難民」と化してしまって、そうした難民が続出する社会に成り果てたのです。さらに現状で問題化しているのが、新規参入してきた住宅型有料老人ホームの中に、経営が行き詰まり、倒産の憂き目に追い込まれる施設が続出している社会現象です。比較的容易に設立可能な施設である代わりに、介護報酬を賄う行政の財源が追いつかず、無償の介護を強いられてしまう施設において、加重な人件費負担で経営破綻に陥るケースが後を絶たないのです。

 画期的かつ薔薇色の社会を夢見ていた筈の介護保険制度の残照として、倒産した施設からの退去を迫られた挙句、難民として介護施設を漂流せざるを得なくなる現象が横行しているのです。こうした施設の経営者達は、「右手に浪漫と左手に算盤、背中に我慢」を強いられて、そのバランス感覚を全うできぬまま、苦悩の日々に埋没しているのです。
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