医療法人 メディカルフロンティア

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蔵出し医療談義(8) =未知のウィルス遭遇=

06月03日
 新型コロナウィルス感染 症(COVID-19)との闘いが、些か緩らぐ傾向に向かってきたとはいえ、まだまだ世界中では凄惨な情況を極めており、連日の報道番組での話題が席巻されていることに、いい加減辟易しているところです。過去の致死的ウィルス感染症蔓延による惨状(通称スペイン風邪)には、約100年程前の第一次世界大戦当時の戦禍の中にあった1918年の春3月のこと、当然の如く当時の事は殆ど記憶も臨場感もありませんでした。世界中での感染者が5000万人以上に及ぶ中で、当時の大戦における戦死者の数をも上回り、日本の中で45万人もの死亡者を出したと伝えられています。パンデミックと呼ばれる感染症の世界的大流行の場合、海域を越えた人々の移動によって、急速に伝播していくもののようで、交通網の発達した現代社会にあっては、まず人の移動を抑え込むことこそが、感染拡大の予防を図るのに重要になってきます。治療薬やワクチンの開発には、時間もかかり後手後手に回ってしまうのが世の常で、実用化までには相当な時間と金と手間暇のかかる手順・段取りが必定で、当然の如く自明の理となります。

 文明・科学の未発達な時代や社会にあっては、語るも悲惨な対応となる闘いを強いられたようで、場合によっては集落諸とも奇襲的に焼き払ってしまうという強硬手段が講じられることもありました。近代のエピソードとしても、致死率の高い「エボラ出血熱」発生の際には、そうした悲惨極まりない対処法が謀られた地域もあったようです。

 今回の新型コロナ・ウィルスの発生源とされる中国湖北省武漢市の海鮮市場で、売買されていた希少食用化動物由来のウィルス蔓延の結果は、遡ってみればそこそこの感染者数や死亡者数に抑え込むことができ、終息に向かっているやにみえますが、武漢のウィルス研究所からの持ち出し流出が原因だとする噂も、米中の責任押し付け合い論争の中で囁かれてはいます。基本的には何もかもと品種も構わずに、食用に供する中華食習慣の綻びのなせる顛末で、自然界の奥深く潜んでいた未知のウィルスとの遭遇が成せる異変に他ならぬのでしょうね。その後4月以降の世界的パンデミックたるや、感染元の中国の惨状の比でない凄まじい感染拡大を呈し、むしろ欧米諸国の医療事情の問題点が浮き彫りになって、揶揄される対象になる有様と化しています。

 いづれの国も医療技術は十分に備わっている先進国ではあるのですが、医療費抑制策を打ち出して、医療施設を縮小・削減途上にあったイタリアの医療崩壊という破綻の現実が、先行して語られ始めた裏側に、大国アメリカやブラジル等の貧困層への蔓延と、医療保険を排除する中で富裕層しか十分な医療を受けられない格差社会や人種差別がもたらすような経済大国といわれるアメリカの歪みが露呈した形で、世界一の感染者数と死亡者数を呈する事態に陥ってしまったのです。

 文明国なるが故の人類の社会生活の破綻は、先進国として未知の領域に開発を進め過ぎた結末というべき成り行きで、奥深い森林や高山等の未開の地、さらに超深海等に潜み続けていた未知なる微生物やウィルスとの遭遇(接触)により、その物体への抵抗力(免疫力)のできぬままに、共生することができず、一方的に人類の生身の生体に寄宿することで攻撃されて、初めての闘いに太刀打ちできぬうちに、儚くも敗れ去ってしまうという現象が、現実の世界に展開されているのだということです。過去の世界に「風土病」と称された地域性をもつ特有な奇病が、各地に散見される伝承話が伝わる時代がありました。致死率はそれぞれ異なりますが、共生するには至らぬまま、人類を苦しめ続けているのです。知恵を持った人類の奢りが生んだ悲惨な負の遺産というべき歴史といえるでしょう。人類の精神構造が変わらぬ限り、これからも繰り返されることは必至でしょう。
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